月裏一丁目一番地

太陽の光の当たらない月裏でひっそりと暮らしています

雨は止み、虹が出る

天気予報が外れ、今日はずっと雨が降っていた。


所用で出かけた僕は用事を済ませてすぐに帰る予定だったのだが、結構雨が強くて、カフェに避難した。
家を出た時は雨が降っていなかったし、天気予報は、雨が降らない予定だったので、傘を持っていなかった。


天気予報と止まない雨にイライラしながら、カフェで紅茶を飲み、本を読んでいた。


止まない雨。


どっかで見たことあるな。
デジャブかな。

違うな

何だっけな


あっ、これは僕の人生じゃないか!


大学を卒業して、就職して安月給で働きながら、転職を繰り返した。


止まない雨はないという言葉を信じながらずっと土砂降りの中を走ってきたのだ。


雨が止まないならば、雨宿りすれば良い。
そんなこと、僕は想像すらしなかった。
雨は止んで虹が出ると信じていたからだ。


そろそろ雨宿りをしようかな。

体はびしょびしょですっかり冷えている。

僕の人生の土砂降りは止む気配がない。

しばらくはこんな感じなんだろう。


そんなことを思いながら、カフェの窓から外を見ると雨が止んでいて、太陽が顔を出そうとしていた。

今日初めて見る太陽はとても暖かく優しかった。
どこかでは、キレイな虹が出ているかもしれない。


やっぱり雨宿りはやめた。
僕はもう少し土砂降りの中を走ろう。
僕の人生の虹が出ることを信じて。